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楽園のおはなし (2-43-別視点) BACK / TOP / NEXT |
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(羊飼いの手記 最後の日記より、カバー下の願い) こんな所まではさすがの藍夜達も気付かないよね。 面倒くさがりの俺が、わざわざカバー外して書くとか、思いもよらないだろうし! 歳をとらなくなってから、時間の感覚がなくならないように藍夜の真似して日記なんか書いてみてたけど、続かないなぁ。 俺、やっと死ぬみたい。 実感わかないけど。 覚悟って言われても、人の寿命を無視してどれだけの時間を生きたか… シリウスの里で会った冥府の使いが言ってた事、今なら分かる気がする。 当たり前の事。 「鳥羽藍夜」は、ちゃんと逝ったんだから、ニゼルも、元の時間に戻らないと。 天使とか魔獣って、ずっと覚えてるんだよね。 自分が過ごしてきた時間。 アンに、聞いたことある。 ……みんなに、悪いことしたなぁ。 俺以外のみんなは、この先もずっとずっと、俺が想像できないくらいの時間を過ごしていくわけで。 その瞬き程の時間の中に俺がいて。 俺、どれだけみんなの中に入り込んだのかな。 あ、自惚れかも…? これだけみんなと一緒で、俺もずっとみんなと過ごせるって錯覚してたけど、俺、人間だったし。 みんな、俺の事なんて忘れられればいいなぁ。 覚えてて辛いこともないかもしれないけど… シリウス、ごめんね。 星の民は、一生涯で契約するのは一人なんだよね。 すぐにいなくなっちゃう人間の俺が契約主でこめんね。 きっと俺よりも優秀な契約主がいたかもしれないのに。 天使とかさ、シリウスと同じ時間を共有できるのにさ。 琥珀は、ちゃんと藍夜の言うこと聞いてくれるといいなぁ。 ちょっとおてんば過ぎだよね。 そんなところも可愛いけどさ。 双子の人型、見たかったなぁ。 あれ、ぜったい隠してるよね。 あざといよなぁ。 サラカエルは、もうちょっとさ。 ちゃんとしようよ。生肉とか、野生過ぎ。 ちょっとくらい、寝過ごしてもだれも文句言わないし。 友達…だったらいいなぁ。 アン、ごめんね。 なんだろう、アンにはお礼とかいっぱいなんかあるんだけど。 うん、なんだろう。 ごめん。 藍夜、ちゃんと天使に戻れてよかったね。 もうさ、身体、大丈夫だよね。 チビじゃないし。 サラカエルに似てるし。 俺の事、いつまでも引きずったらダメだよ。 藍夜、ぜったい引きずるし。 俺とのことは藍夜の時間の中のほんの一瞬の出来事なんだから、今までじゃなくて、ちゃんとこの先を見ていかないと。 だから、俺の事、忘れて! 思い出ばかり浸ってると、ほんとにおじいちゃんになっちゃうからね。 もし、「また」が許されるなら… みんなと同じ時間生きたいなぁ。 藍夜と同じ時間を。 生きたいなぁ… ねぇ、みんな。 俺の事、覚えててね。 最後の一行は、黒く塗り潰されている。 何が書かれていたのか、何を書いたのか、何を思っていたのかは、羊飼いにしか分からない。 |
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BACK / TOP / NEXT UP:19/04/28 |