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モンスターハンター カシワの書(37) BACK / TOP / NEXT |
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「待てって、どこ行くんだよ。ユカ」 久しぶりに再会したかと思えば、これだ。襟首を解放した直後、ユカはカシワを無視してベルナ村方面へまっすぐに進んでいく。 終始無言だ。戸惑いながら赤色の背中を追う最中、いつもの定位置に腰を下ろす龍歴院院長とぱっと視線が重なった。 皺に埋もれた見慣れた微笑みは、どう見ても自分に向けられたものである。彼女に何かした覚えのない新米狩人は、どぎまぎして思わず立ち止まっていた。 「……先の、」 「うんっ?」 「ラティオ活火山の話だ。あの穴の底にいたものの姿は覚えているか」 いやに張りつめた声だ。振り向いたユカの表情は、目深に被られた羽根帽子の鍔に隠れてよく見えない。 「穴の底……って。やっぱり、あれが龍歴院が探しているっていう新種なのか」 「そうか。珍しく飲み込みが早いな」 「えっ、いや、はは……実はさっきのお医者さんに聞いて、」 「あの人は……師匠もそうだ、一言が多すぎる」 あのユカにも「師」と呼べる相手がいるのか――意外な「独り言」にぱっと顔を上げると、すでに男は歩き出していた。 慌てて後を追う。失言するなんてらしくない、それだけは寝ぼけ半分の頭でも理解できる。 「ユカ。お前もあのモンスターを追ってるのか」 「だったらなんだ」 「『あれも未熟な個体だ』って言ってただろ。何か知ってるんじゃないか、知ってるならそのまま報告すれば……」 「お前に言われるまでもない。あれは『古龍種』だ。今のお前が敵う相手じゃない」 「こりゅう……なんだって?」 つられて立ち止まったとき、カシワは不意にあの悪夢を思い出していた。 向かい合った先、陰影に潜んだ銀朱の眼が、あの暗がりに沈む星々に似た恐ろしいものとして目に映る。 息を呑み、眉を潜めた。こちらの困惑を見て取ったのか、ユカは立ち上る怒気や苛立ちを逃がすかのように長く深い溜め息を吐いてみせる。 「未だ、生態が解明されない存在。ギルドや竜人族が調査を続け、行方を追い続ける神出鬼没の限られた種の総称。それが古龍だ」 「……ええと、なんだって?」 「分からないのなら忘れろ。いや、聞く耳持たないなら今すぐ通常の狩猟依頼に戻れ」 「なんっ……なんだよ、その言い方!? いくら俺でも、」 気づけば胸ぐらを掴まれていた。至近距離で鋭い眼光に射抜かれ、出かけた言葉を続けられない。 「分からないのか。下位、それも安定した狩り場での遭遇、初めてにしては大した運だな。だがそれまでだ……お前に古龍など狩れるものか」 「っ、お、い。ユカ……」 「好奇心で挑まれて死体が増えても回収に手間取るだけなんでな。分かったら大人しく、」 本気なのか、脅しなのか。否、それはさほど問題ではない。 息は詰まり、体は畏怖で凍りつく。初めて作成した自慢の防具が悲鳴を上げていた。ぎりっと歯噛みした直後、両手に渾身の力を注ぎ込む。 「っ、なんなんだよ! 古龍だかなんだか知らないけどな、そんな言い方されて俺が納得するとでも思ってるのか!?」 ユカの手は思った以上にあっけなく振りほどくことができていた。肩で息をしながら、予想外に迸った怒声の大きさに我に返る。 幸い、集会所には誰の姿もなかった。新種の調査中だというのに不思議とあたりはしんと静まり返っている。 いつもならもっと人が行き来しているはずなのに……嵐の前の静けさのような静寂を前に、カシワは一瞬ユカに掴み掛かられていたことを忘れてしまった。 「古龍が何かも知らないのに、よくそんなことが言えたものだ」 ぽつり、と呻くような声が漏らされる。振り向けど、騎士の顔は再び帽子の鍔の下に隠れされていた。 「! んなっ、そっ、それはその……し、知らないものは知らないんだから仕方ないだろ!?」 「ふん。知ったところでお前にどうこうできるとは思えんがな」 「またそういう……お前なあ! ちょっとは俺を信用したらどうなんだ!? そりゃ、下位だし、腕前は……あんまり頼りにならないかもしれないけど」 言っていて悲しくなってきた、パートツー。尻すぼみになる語気は、ここ最近の苦戦続きの狩猟を思い返してのことだった。 情けなさでうなだれそうになる頭を無理やり振って持ち上げ、睨みつける。火竜を狩れたんだ、自信を持て――一方的な物言いに、負けてなどいられない。 「お前が凄いハンターだってことは俺だって知ってるさ。けど、それこそお前一人でどうこうできる相手でもないんだろ?」 「なんだ、俺単独で調査しているとでも思ったのか。なんのためにギルドがあると思ってる」 「うぐぉ……け、けど人数は多いに越したことないだろ。た、たぶん」 お前が困っているなら、助けられてきた分だけでも力になりたいんだよ――さすがにその一言を口に出す勇気はなかった。 赤面混じりに口ごもる新米狩人を見て、銀朱の騎士は一瞬目を細める。懐かしいものを見るような、根深い悔恨に浸るような、心痛に満ちた眼差しだった。 「……古龍は、それ一体だけでも恐るべき被害をもたらす強大な存在だ」 ぱっと目線を上げる。羽根帽子の端を摘まんでなお深く被り直しながら、ユカは誰にともなくといった体で息を吐いた。 「お前が目にした相手もそうだ。それも新種の超大型ともなれば、撃退するだけでせいぜいだろう」 「超大型? そんなに凄いのか。あの穴の底にいたやつは……古龍の連中は」 「ああ。自然そのもの、人類を滅ぼすもの……言われ方は様々だが、奴らに自覚がないことも多い。『通り過ぎただけで人を死なせた』事例もあるほどだ。 だから被害が出ないように先回りする必要があるんだ。今回の相手は特に出現する場所、頻度が不安定で、いつどこで誰が巻き込まれるか分からんのでな」 「そんな……嘘だろう? あんなことが、あんな……そんなに、あちこちで起きてるなんて」 「足取りを追うのはもちろんだが、出現地帯を調査しがてら二次被害を防ぐのも俺たちの仕事だ。上手く封鎖できれば、巻き添えそのものは減るだろう」 「あのユカにそこまで言わせるなんて」。カシワは眉間に皺を刻んで沈黙する。 俄には信じられなかった。自然そのもの、人類を滅ぼすもの。そんな災害級の生き物が現実に存在しているという事実すら、今の今まで知らなかった。 あの日見つけた冥い星々がそうだとして、ユカをはじめ龍歴院は居場所や生態を特定し終えるまで追うつもりでいるのだろうか。 もし、その途中で彼らが「踏み留まれずに」あの暗がりに堕ちてしまったら……顔を上げたとき、銀朱の騎士は羽根帽子を外して真っ直ぐこちらを見ていた。 「何も、古龍種を狩ること自体が狩人の宿命とは限らないんだ。お前はお前にできることをやればいい」 「……」 「いいか、カシワ。もうベルナ村にクリノスが戻っているはずだ。あいつと合流して……」 「なあ、ユカ。それってつまり、古龍は狩れる、ってことだよな」 ぽんと出た言葉は喉奥には戻せない。硬い銀朱の髪をぱさりと音立てさせて、ユカは信じられないものを見る目でカシワを見る。 「俺はギルドとか龍歴院の事情なんて全然知らないけど……あいつが世界中で暴れてて何とかしなきゃいけないなら、俺たちが狩猟すれば済むんじゃないか」 「待て。お前、自分が何を言っているのか分かっているのか」 「うん? いや、お前が『古龍を狩ることが』って言ったんだろ。なら前に狩猟できたハンターだっていたってことだよな?」 「馬鹿を言うな、言っただろう。無理と無謀は別物だ。今のお前には、」 「今の俺には無理でも、お前とクリノスが一緒なら何とかなるんじゃないか。俺が頼りないのは……そうかもしれないけど、そんなこと言ってられないだろ」 「お前……クリノスのような地獄耳と屁理屈を……」 「なんだよ? 聞こえてるぞ。それに俺はクリノスより屁理屈こねたりはしてないだろ」 それこそ屁理屈だろうが、呻くようにユカは唸った。顔は反らされたが、騎士の声色から先ほどの敵意は消えている。 新米狩人は考える。生き物であるモンスターを手にかけたとき、手元に返されるのは決まって生命をむしり取ることへの嫌悪と罪悪感、おぞましさだった。 彼らがどこから来てどこへ行くのか。家族はあるのか、帰る場所はあるのか、何を思って自分たち人間に対峙するのか……刃を向ける度、躊躇で息が詰まる。 しかしそれを口にするのは憚られた。依頼主やギルド、龍歴院の職員、ベルナ村をはじめとする自分を信頼する人々を裏切ることなどとてもできない。 彼らの期待に応えることは、即ちモンスターと対峙することと同義だ。自らその道を選んだのだ、端から無理だと決めつけてはいられない。 狩るのか、狩ることをやめるのか――その思考に立ち止まれば、二度と前に歩き出せなくなるような気がした。 「問題は俺がそいつに挑めるかどうかだよな。えーと、ハンターランクとか、そういう制限もあるんだろ?」 「……当たり前だ。その話をしにこれからベルナ村に向かうと、俺は……」 「そうなのか。なら、早く行かないとな。俺もアルに話さなきゃいけないことがあるし」 「……」 不安も躊躇も飲み込むようにして、早口で話を取りまとめる。こちらを案じてくれていたであろう銀朱の騎士は、終始表情を歪ませていた。 気づけば立場は逆転している。唸りながら額を抑えるユカを置き去りにして、カシワは一人ベルナ村に急いだ。 「――おぅりゃあぁあああニャーッ!!」 「どわッ!?」 村境を抜けたら、そこはネコの跳び蹴りでした……南無三。 ベルナ村に到着するや否や、新米狩人を出迎えたのは黄色毛並みのアイルーだった。いつかの寝起きよろしく綺麗に頬に肉球がめり込み、勢いよく倒れ込む。 「ううっ、な、なにするんだよ。リンク」 「カシワさん! おっそいニャ!! どこで何してたんですニャ!?」 「おい、どうし……」 「ユカさん! ……ユカさんは別に待ってなかったニャ。お帰りなさいですニャー」 「……ああ、いま戻った」 手を借りながら立ち上がれば、フンス、とリンクは胸を張ってこちらを威嚇している。彼に叱られる覚えのないカシワは、素直に首を傾げた。 「なあ、俺、そんなに遅かったか。ただクエストに出てただけで、」 「カシワさんが旦那さんになんにも言わないで出てったから、アルフォートがふてくされてるニャ。報連相は大事だって旦那さんが言ってましたのニャ!」 「うっ、そ、それは……まさかお前、わざわざずっとここで俺の帰りを待ってたっていうのか」 「勘違いしないでほしいですニャ、心待ちにしてたわけでもないニャ。ボクはただ、旦那さんの深層心理代理キックをしただけで」 深層心理代理キック、後ろで復唱したユカが珍しく肩を震わせている。カシワはこちらは無視することにした。 「アルがふてくされるって……そんなに日数経ってないだろ?」 「だったら直接アルフォートにそう言ってやるといいですニャー。全く、旦那さんにもいい迷惑ニャ!」 銀眼をきっとつり上げて、どすどすとリンクは村の入口へと二人を先導する。従うことしかできず、歩幅を合わせながら後に続いた。 村の入口付近、徐角を済ませた雲羊鹿二頭のうち、入口左手側の方に何やら人だかりができている。 「彼ら」は訪れた旅人や観光客を出迎える、いわばベルナ村の看板草食種だ。普段から人懐こく、カシワも初めてベルナ村を来訪した折に歓迎されている。 しかし今は……嫌な予感に口端を引きつらせれば、予想通り、天色髪の女が人だかりの中央に立っていた。 徐角痕に巻かれた赤色のリボン。それをちょいちょいと指で遊びながら、彼女はムーファの背にうつ伏せになる一匹のメラルーにしきりに声を掛けている。 「……ねー、アルくん。カシワの馬鹿ならそのうち戻ってくるから」 見慣れた聞き耳、カギ尻尾。跳狗竜素材の防具に、青色の眼。アルフォートは、クリノスの声掛けにぱたりと尻尾を振り返しただけだった。 「あいつがヘタレなのは今に始まったことじゃないでしょ? どうせアイテムむしり取るのに夢中になってるだけだから」 「……ニャ。クリノスさん」 「うん? なに、どうしたの。ほらっ、もう顔上げて、」 「ボクは、採集アイテムより役立たずですニャ? なら、きっともう旦那さんとは狩りに行けないですニャ……」 「……。うっわぁ、重っ」 「クリノス。本音、出てる」 「だって、生き別れた家族とか運命の恋人とかでもないんだから! ステラからも何か言ってやってよ!」 「うぅん……ねえ。アルフォート、」 「ステラさんが何を言っても手遅れですニャ。旦那さんは……ぼっ、ボクなんてきっと、い、いらな……っ」 めそめそぐすぐす、とすすり泣く声がふかもこ毛に埋もれていく。逆にムーファ側が気遣うようにムゥゥと鳴き、背中のアルフォートを見上げたほどだった。 さすがにこれは黙っていられない――カシワは悪い、通してくれ、とやんわりと人だかりを掻い潜り、騒動の中心に顔を覗かせる。 「おい、アル」 「ニャァ……ボクはもう駄目ですニャ。ついに幻覚まで見え始めましたのニャ……」 「いや、アルくん。相手、生きてるから。普通にカシワだから……って、あんたも遅い! どこで何やってたの、二人そろって面倒くさい!!」 クリノスが怒るのももっともだ。数日離れただけで何故アルフォートがここまで絶望するのか……カシワには見当もつかなかった。 ユカが見物客をさりげなく追い払う傍ら、急ぎムーファの元に駆け寄る。背中に触れてみると、オトモメラルーはびくりと小さな体を跳ね上げさせた。 見上げてくる眼が、新米狩人を視認した途端に驚きと恐れに染まる。どうした、そう声を掛けた瞬間、アルフォートはぼろぼろと決壊した。 「う、うぁ……だっ、だ、旦那さん!!」 「お、おう。どうした? どうしたんだよ、アル……」 抱きついてきた体を抱き留めれば、ぐずぐずと泣きじゃくる。困り果て、ひたすらその背をさする間、ユカがクリノスに向き合ってくれていた。 「尋常じゃないな。クリノス、お前は何か知らないのか」 「さあ、分っかんない。わたしたちがライゼクスを狩りに行ってー、帰ってきたらこうなってた」 「ほう。そういえばそんな依頼も出ていたか、お疲れだったな」 「何それ、わたしは言われなくてもちゃんとやるときはやるんですー。ユカペッコにお礼言われなくても、平気だしっ」 「ユカペッコ? おい、お前……」 「あっ、ユカ! 人払い、ありがとうな……で、なんだっけ。そうそう、クリノス、お前がライゼクスを……って、森丘のあいつか!? いつの間に?」 アルフォートを抱きかかえたまま、騎士と先輩狩人の話を耳にしてカシワはたまらず目を剥いていた。 ライゼクス。かつてシルクォーレの森にて遭遇した、深い暗緑の甲殻に身を包んだ雷の飛竜。当時はオトモともども逃げ回るだけで精一杯の相手だった。 蓄電を経て色彩豊かに変貌する翼膜。凶悪に夜空を塗り替える冠甲……蛇行しながら迫りくる雷撃を思い出し、ぞくりと背筋が冷える。 それを、狩った? あのリオレウスと同格の大型モンスターを、クリノスが――驚きのあまり固まる新米狩人に、先輩狩人はこともなげに言い返した。 「え? あれ? あんた、会ったことあったっけ?」 「あ、ああ。ある、そういえばお前には言ってなかったような……って、そうじゃない! お前、いつの間にあんな強いモンスターを」 「ステラも一緒に、だったけどねー。あとはリンクとチャイロかな。あんたがいつ来るか分かんなかったから、アルくんには留守を頼んでたんだけど……」 ここで話は振り出しに戻される。一行が一斉に視線を向ける先は、当然カシワに抱えられたアルフォートだ。 注目されているのを感じ取ってか、びくりと一度肩が跳ね上がる。そろりと全員を見渡すオトモメラルーの眼は、未だに深く潤んでいた。 「アル、話せるか。ここで何があったのか、誰かに何か言われたのか……話してくれないと、俺たちは何も分からないだろ?」 「だ、旦那さん。で、でも……」 「いいさ、俺は何を言われたって平気だ。クリノスもユカも、それにステラだっているんだ。何も心配することないだろ? 皆、お前の味方じゃないか」 宥めるように声を掛け、背中をさすり、額に己のそれを押しつける。アルフォートは、そこでようやく覚悟を決めたようだった。 「あ、あの、りゅっ、りゅうれき、龍歴院つきのっ……じ、上位の、ハンターさんがっ……」 「龍歴院つきの上位ハンター? 誰だそれ、俺たちの知ってるやつか」 「ち、違いますニャ。ボクも初対面で、全然知らない人で……でも、相手の人は旦那さんたちのことを『よく知ってる』、『有名人だから』って」 「……クリノス、あなたは何か知らない?」 ステラの問いかけにクリノスは首を素早く横に振る。いつもの素直さからして、彼女が嘘を吐いているようには見えない。 「それで、アル」 「そ、その人は……だ、旦那さんが、クリノスさんやユカさんに『寄生』してるって。腕利きに甘やかされて、コネで難しい依頼を受注できてるんだって。 そんな楽ができていいよなあ、カシワさんはそうやってズルして龍歴院から称賛されてる人だから、オトモもお察しだよなって。そう、言われましたニャ」 鈍器でこめかみを殴られたような心地になった。一瞬よろめきかけて、しかし新米狩人はその場に踏みとどまる。 一体どういうことだ、誰がそんなことを、叫びそうになるのを堪えて勢いよく振り向くカシワだが、背後に立つ三者はともに困惑しきった顔をしていた。 恐らく、該当する人物の言う「腕利き」とはクリノスないしステラのこと、「コネ」とはユカのことを指しているのに違いない。 よりにもよって――以前、ユカが噂を頼りにクリノスに指摘した行為「寄生」。ハンターであれば誰もが嫌悪する悪行を、確認もせずに広める者が現れた。 その発言が、龍歴院の眼前に位置する狩猟拠点で拡散されいくものともなれば……周囲への影響は計り知れない。 「アル、そいつはどんなやつだった。顔立ちは、防具の種類は?」 「そ、それが……綺麗な女のハンターさんにたくさん囲まれてて、あまり見えなくって……」 「い、いや、お前を責めてるわけじゃないんだ、俺が悪かった! だからその、頼むからもう泣くなよ……」 誰が、何の目的でそのような噂を広めたか。 またしても泣きじゃくり始めたオトモの頭を抱えて、新米狩人は混乱と怒りも飲み下せぬまま呆然と立ち尽くすばかりだった。 |
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