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ある騎獣の独白(楽園のおはなし2章SS) TOP / NEXT |
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(白い神獣) 「奴」が「あれ」と同系列である事が信じ難かった。 過去の所行を思い返せば奴がこの場にいる事は明らかに異常だし、奴自身もそう言っている。 とはいえ、肝心要の人物がそれを良しとしないのでわたしには為す術がない。 わたしはそれがいたく気に入らないのだ。 わたしは母さんのようにお人好しでもなければ、パパのように飼い主に従順な質でもない。 愚弟は自分、或いはわたし以外に無関心だし、彼の天使に至っては呑気に微笑むばかり。 (笑う事に異議を唱えるつもりはないけど許容するにも限度があると思う) 飼い主……この場を取り仕切る纏め役は、奴の片割れの親友だったという。 親友の面影を重ねているのかと思ったけれど、同一視はしていないらしい。 わたしから見れば現状、似たようなものだと思うけど。 奴はあれに変なところで似ている。 口にする物に拘りが強く、我も強い癖に口数少ないのがそれだ。 書物片手に椅子に浅く腰を掛ける様や、翼を広げた際の背格好もよく似ている。 奴とあれの違いは細かくて、愚弟はよく分からない、と言っていた。 わたしは奴が妙な真似をしないようによく見ているから、差は把握しているつもりだけど。 例えば、あれはハーブティーを好んでいたけど、奴は俄然紅茶派だ。 (珈琲はどこが美味いか分からないというのは一致している) 物を書き記す時、奴が使うのは万年筆、あれは羽ペン一択だった。ただし、手の動きは瓜二つ。 よく見てるねえと飼い主に言われたけれど、気付かないなら注意力が散漫なのだと思う。 「気に入らないわ」 「何がだい」 「あんたの何もかもがよ」 「奇遇だね。僕も同じ事を考えていた」 天使って皆こうなのかしら。 そう、強いて簡潔に纏めるなら、空気が読めないという話。 |
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