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天使でも風邪をひく(楽園のおはなし3章SS) TOP / NEXT |
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「莫迦は風邪引かないっていうけど、結局たかが人間の言う迷信だったみたいだね」 (兄さん。喉、枯れているんだから。あまり喋らない方が) 「あのさ、エリヤ……『アスター』の莫迦が悪夢が怖いからって『引っ込んじゃった』んだから仕方ないじゃないか」 (可哀想に……『あなた』が『彼』に鞭打たれる光景に耐えられなかっただけ) 「同情なんてされたくないよ。僕は神に認められた存在なんだよ? 分かってるよね、『サタナエル』」 (いたいのは、かなしくて、くるしくて、やーですのう) 「……ほんっと、莫迦じゃないの」 「――アスター? 具合、どう? ちゃんと寝てる?」 「……、五月蝿いのが来たなあ。ねえ、アクラシエルはいないわけ? あっちの方が、まだ静か」 「あれ、その瞳(め)……お前、エノク?」 「元ヒト風情にお前呼ばわりされる筋合いないよ。敬意っていうのを持って欲しいよね」 「相変わらず口が減らないなー。風邪っぴきのー、お子ちゃま風情ー」 「ほんっとに生意気だよね……エリヤはこんなのの何が気に入ったんだろ」 「さあ? サンダルフォンはメタトロンより大人なんじゃない?」 「莫迦にしてるわけ」 「まさか。ほら、熱、引いてないんだから。ちゃんと布団被って、あったかくして寝ないと」 「言われなくたって」 「で? 今日は『アスター』は如何したの?」 「……」 「エノク?」 「あのさ。僕が、さ。もともとは人間だった事は知ってるでしょ」 「え? うん。『銀色の大樹』から聞いた」 「僕が天使になって……神との約束を違えて、堕とされる前に鞭打ちの刑に処された光景を夢に見たんだって」 「鞭打ち?」 「そう、六十回。まあ神の命令だし、打つ方だって仕方ないよね。リアルな夢だったって」 「酷い事するね」 「やめてよ。同情なんて、されたくない」 「そう」 「……『ごめんなさいって何度も言ってるのに叩くのやめなくて酷いですの』、だって。昔の事なのに。莫迦みたい」 「アスターらしいね」 「……」 「エノク? 寝た?」 「……」 「ふう。うん……おやすみ。って――服、掴んでたら向こう、行けないじゃないか」 「……い、ごめ……ぃ、ゆるし……ぼくら……ともだ……」 「……すぐよくなるよ。おやすみ、エノク」 |
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