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楽園のおはなし 一章あらすじ

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It begins to turn around a tale, The locus of paraiso...(然るに、書は開かれた)


その昔、世界は天上に住まう神々によって支配されていたという。

北大陸の王国、パーピュアサンダルウッド。その北、のどかな街ホワイトセージ。街の北側、小さな丘の上に二軒の家が建っていた。
片方はアルジル牧場。希少で繊細、良質な毛と羊乳が得られる高級ブランド羊・アルジル羊を飼育するアルジル一家の三人が暮らしている。
もう片方は、二十数年前に大陸の北の島国、輪の国より越してきた鳥羽夫妻とその子供二人が暮らす、骨董店オフィキリナス。
両家は互いに親交が深く、子供世代である鳥羽藍夜とその弟暁橙、ニゼル=アルジルらもまた、幼なじみの域を越えた親友同士だった。


事の発端は十数年ほど前、オフィキリナス店主・鳥羽瓊々杵とその妻、鳥羽咲耶の変死事件より始まる。
ある冬の日、悲惨な遺体となって発見された夫妻は、彼らの長男藍夜によって手厚く弔われた。
死因を調べるのに躊躇するほど損傷が激しく、かといって現場に居合わせた藍夜、そしてニゼルは事件の概要を決して口にしなかった。
神秘の力を宿す、神々が眠るとされる遺跡より発掘された特別な骨董品、ロード。それを扱う事で、街から煙たがられていた鳥羽家である。
ホワイトセージの人間は、黙する藍夜が事件に関わっているのではないかと邪推し、彼とその店から距離を置くようになっていった。


鳥羽藍夜は、ロードを自在に操る神具使いであると同時に、使用者の資質やロードそのものの特性を見抜く、特別な左瞳を持っている。
ある年齢から老いなくなった彼は、良き理解者ニゼル、唯一残された暁橙と共に、街と一定の距離を保ちながら商売を続けていた。
そんな彼らの元に、グリフォンの琥珀、天使アンブロシアが訪れる。ふたりは、知人の天使ウリエルに藍夜の眼はそっくりだと言うのだ。
実は鳥羽夫妻の命を奪ったのは「天使」だった。故に藍夜は双方を拒絶するが、ニゼル達の説得で、行き場のないふたりを預かる事にする。
こうして、オフィキリナスに新たな店員が二名も増えた。ホワイトセージの跡取りハイウメから揶揄されたりもしたが、日々は平和だった。


事態は、ウリエルの対天使と名乗る青年サラカエルの来訪によって一変する。彼は殺戮銘を持つ天使で、アンブロシアらと知り合いだった。
同時期、彼の足取りを頼りに、行方不明となっているアンブロシアの姉の婚約者・喰天使ノクトがオフィキリナスを襲撃する。
理不尽な仕打ちに対し、藍夜は全力でこれに対抗するが、高位神具・雷神の雷霆を以ってしてもノクトの固有能力に勝つ事は適わなかった。
結果として藍夜は瀕死に追い込まれ、オフィキリナスの所有するロードの殆んどが喰天使に奪われてしまう。
ニゼルは親友を復活させるべく、禁断の地・冥府の大河レテに向かった。過去にその水を飲んだ事で、藍夜は神具使いとして目覚めたのだ。
途中、謎の仮面の男や冥府の番犬に妨害されるニゼルだったが、辛うじてレテの水を採る事に成功し、彼はオフィキリナスへ帰還した。
一方、「喰」の力に抵抗し、夢にうなされていた藍夜は、深層意識の中で自分がかつて高位天使ウリエルであった事を思い出す。
彼には最愛の女性・ニゲラという天使がいたが、ラグナロクに巻き込まれた際、目の前で彼女を喪ってしまっていた。
自分が何故、身内に対して激しい独占欲を抱くのか。その理由を知った藍夜は、同刻にニゼルが持ち込んだレテの水によって生還を果たす。
生前の記憶を取り戻した藍夜は、サラカエルの力を借り、ロード、そして言葉巧みにニゼルをさらったノクトに復讐する事を誓うのだった。


ノクトの潜伏先で、彼がアンブロシアの姉を喰によって消滅させた事、そして彼らの周囲に大天使ミカエルが潜んでいた事が明らかになる。
ウリエルとして半覚醒を果たした藍夜は、死力を尽くしてノクトと戦い、ロードを取り戻す事は出来ずとも、彼を退ける事に成功した。
ニゼルの決死の説得もあり、ノクトとアンブロシアは辛うじて一応の和解を果たし、一度別れる事になる。
無事にオフィキリナスに帰還した彼らは、店の修繕を始めとした、しばらくぶりの安定した生活を満喫していた。
……そんな中、突如ホワイトセージに、漆黒の髪と瞳、衣服を纏った美麗なる青年が現れる。彼は街に「仕事」をしに出現したのだった。
親しい間柄の少年と街を散策する一方で、配下の黒毛の魔獣、白毛の魔獣らを使い、彼らはホワイトセージを瞬く間に退廃の街へと陥れる。
街は彼の支配領域となり、信仰心の薄い教会の神父や鳥羽兄弟の知人、マトリクス夫妻の命も奪われ、凄惨な光景は広がるばかりだった。
何も知らずに街を訪れていたニゼルと暁橙は、青年の付き人である少年、赤い瞳のザドキエルと出会う。
藍夜に会いたいと懇願された二人は、一路オフィキリナスへ戻る事にした。途中、喰天使がザドキエルを預かり、二人に店に急ぐよう促す。
オフィキリナスでは、サラカエルが店を中心に結界を展開させていた。街に異変が起きていると聞き、ニゼルは強い胸騒ぎを覚える。
藍夜も出掛けた事を知った暁橙は、二人の制止も聞かずにホワイトセージに向かってしまった。そしてこれが、悲劇の始まりとなっていく。


アンブロシアと街を訪れていた藍夜は、街長の跡取りハイウメと共に街の異変を調べ始めていた。
色欲に堕ちた人々を避け、魔獣を退け、無事だった住民らを誘導しながら、彼らはついに黒塗りの青年と邂逅する。
恐るべき力の前に、為す術もない藍夜達。窮地を救ったサラカエルを盾に逃げる最中、藍夜とハイウメはザドキエルと遭遇する。
あくまで興味と好奇心に従うばかりで、良心の欠片も見えないザドキエルに、藍夜は辛辣な苦言を呈するのだった。


ハイウメの助言で一度街に戻った二人は、いよいよ街の住民ともども追い詰められていく。
サラカエルとも合流出来ず、焦る藍夜は魔力の消耗も省みずロードを酷使し、ついに力尽きようとしていた。
そんな時、駆けつけた琥珀、アンブロシアも含めた彼らの目の前で、暁橙が魔獣の牙から藍夜を庇い、命を落としてしまう。
暴走した藍夜をアンブロシアが懸命に止めるが、全てが終わった後、結局暁橙が助かる事はなかった。


家に戻った一同は、暁橙を弔い、なんとか日常を取り戻そうとする。しかし藍夜のダメージは大きく、彼は自ら寿命を手放そうとしていた。
このままではロードに負けて本当に死んでしまう、サラカエルから恐ろしい話を聞いたニゼルは、親友を立ち直らせようと奮闘する。
ホワイトセージの調査に訪れた騎士団をあしらう一方、ニゼルはかつての日々を思い返し、藍夜を励ました。
それでもなお沈んだままの親友に心が折れかけるニゼルだったが、琥珀のふとした一言で、彼はある妙案を思いつく。
鳥羽藍夜を怒りに染め、強引に顔を上げさせる方法……ニゼルは琥珀を誘拐し、牧場、オフィキリナスから離脱する決意をするのだった。





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 UP:19/04/20