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金は天下の回りもの(楽園のおはなし3章SS)


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(甘いか苦いか半分か)


「う〜ん、これは悩みどころですのぅ」
「あれ? アスター、買い物に行ったんじゃなかったの?」
「どの店を巡ればいいか、どの商品を購入すべきか、より効率的なルートを思案中だそうです。ニゼルさん」
「レヴィ……そっか、待たされてるんだね。オッツカレー」
「ニジママ様っ、これは重要な案件ですの! ギャルソン・テイラー、ギャレット・パルフェ……どっちで買い物をすれば満たされるか!」
「正直どちらでも問題ないと思います」
「……買い物行くねーって言って二時間も待たされたんじゃね。うーん、どっちにも寄ればいいんじゃない?」
「予算の関係ですのぅ! せっかくのバレンタインなんだから、お屋敷の皆さんの分も必要なんですの!!」
「……それにかこつけて自分用の高価な限定品を買いたいだけムグ」
「はいはい、レヴィのお口は賑やかだねーもう少し我慢しようねー……じゃ、足りない分は来月のお小遣いから差し引いて貰ったら?」
「…………」
「……既に差し引かれてるんだね。はあ……あのね、アスター。魔力の補給分だけでも経費で落としなよ。ヘラに言えば貰えるでしょ?」
「藍夜パパ様に……『お金は天下の回りものとは言うがね』、って以下ウダウダ言われちゃいましたのう」
「藍夜はケチだからケチつけたくて仕方ないんだよ、気にしたら負けなの! ほら、先に買い物行ってきなよ。売り切れても困るでしょ?」
「う、うぅ……で、でも、もうちょっとだけ、タンマ、ですのぅ」
「――ニゼルさん」
「はーい、なんですかー。暇を持て余してるレヴィくん」
「ギャルソン・テイラーとギャレット・パルフェの違いがよく分かりません。アスターさんが苦悩するような差異でもあるんですか」
「ええっ? 知らないでつきあうつもりだったの? そうだなあ……」

「ギャレット・パルフェはファンシー、超女子向け! のユメカワパステルカラーメルヘンて感じじゃね? 味つけも甘いのが多いしなー。
 でー、逆にギャルソン・テイラーは大人向けのシックな感じ。ビターチョコとか高カカオとか洋酒入りとか、オレら向けのはコッチだな」


【くろわしうま さんご が あらわれた!】

ニゼル「どうしようかな……?」
→たたかう
 せっとくする
 おせっきょうする
 にげる



「……いやいやいや、あれっ、っていうか珊瑚に真珠!? いつこっちに来たの?」
「よっすー。ぼちぼちバレンタインって聞いたから、ねーちゃんとアスターにチョコ貰おうと思って!!」
「ブレないわよね、こいつ」
「お帰りー、真珠−。ブレないよねー、珊瑚って」
「え? アレ? ちょ、ちょいちょい、オレへのオカエリーは?」
「わぁ、かあさまにとうさまですの。オカエリナサイ、ナンデスノウ」
「……なんで片言?」
「ちょっとチョコ買う予算が怪しいらしくってねー。アスター? 後で俺も援助するから、いいから遠慮しないで買っといでー」
「う、うぅ……」
「アスターさん、ここはニゼルさん達に甘えた方がいいと思います」
「ぐぬぬっ……こ、この貸しは倍返ししてやりますの! 覚えてやがれ−、なんですのぅ!!」
「……」
「……」
「……」
「……あの子、前からあんな感じだったかしら?」
「色々あったし、あるんだよー。ね、せっかくだからアンにチョコパイでも焼いて貰おうよ。少しはこっちにいられるんでしょ?」
「何でもいいケドさー、あの黒いチビスケ、アスターにベッタリしすぎじゃね? まさか狙ってるわけじゃねーよなー」
「ニゼル。せっかくの申し出だけど、ケイロンのところを借りてタルトを焼いてきちゃったのよ。いらなかったかしら」
「わぁっ、真珠の手作り!? 食べる食べる、持って帰らないでよー? うわぁ、久しぶりだなあ!」
「え、あの、ちょい……なんっ、なんでオレの事無視すっかな!? なあっ!?」


〜帰還した後〜


「えへへ、ですの。ニジママ様とヘラママ様にフォンダンショコラ、藍夜パパ様とエルパパ様には甘くない一口パイ、それからそれから、」
「アンブロシアさんには菓子の材料でしたけど、よかったんでしょうか」
「むしろ、そうやって頼まれましたのぅ。明日、アスターも焼くお手伝いをするんですの!」
「……それ、普段と何ら変わらないですよね」
「細かい事はいーんですの。とうさまはなんでか泣いちゃってたけど、かあさま曰く喜んでいるらしいから……今年も大成功なんですの」
「そうですか。僕はチョコレートの何が美味しいか分からないので、アスターさんが楽しかったならそれで問題ありません」
「そもそもチョコレートは嗜好品なんですの。雰囲気だけでも楽しめたら、それだけでいいんですの!」
「……そういうものですか」
「そういうものですの。はい、レヴィにはこれ。頑張って作ったの、あげますのぅ」
「! ……ぼ、くには、チョコレートの良さは」
「いらないですの? せっかくニジママ様達と一緒に作ったのに」
「いえ、いります、必要です、必須です、欲しています。有難うございます、アスターさん」

「(……『手作りチョコ』の有用性を教えたのは、君かい? ニゼル)」
「(だって、物陰からギリギリ言ってるノクトやサラカエルや珊瑚が面白かったし。いいんだよー、雰囲気を楽しんでるんだから!)」
「おや、君もほどほどに悪趣味なものだね」
「ふふ、藍夜だってデバガメしてるじゃない! ……ね、部屋でフロランタン・ショコラ食べよう? とびきりのバレンタイン仕様だよ」


(今もこれからも、なお愛しい者達へ)




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 UP:21/02/16