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初秋(楽園のおはなし3章SS) TOP |
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(ある日の事/初秋の縁側にて) 「焼き芋の季節だよねー」 「栗も良いんだろうけどね、如何せん弾けるからね」 「落ち葉集め手伝ってくれて有難うね。大変だったでしょ? この庭すっごく広いから」 「さほど苦もないさ。先週は秋雨で紅葉狩りに行きそびれてしまったからね」 (いつものように寛ぐ二人の前に何者かが立つ) 「しゅたっとさんじょう! ですの」 「あれ、アスター。どうしたの? 芋ならまだ焼けてないよー」 「違いますの。あの、えっと、あの……今度とうさまにお料理教えて欲しいですのっ!」 「急にどうしたんだい」 「そうだよ、料理ならアンや真珠にして貰っているじゃない?」 (縁側の向こうでは常のように洗濯物に悪戯して耳を掴まれたまま引きずられていく珊瑚の姿が視認出来る) 「シアお母さまもかあさまも、たまにはゆっくりお休みして欲しいですの。 かあさまはお身体が本調子じゃない時もあるみたいだし、アスターとっても心配ですの……」 「ふむ、一理あるね」 「うーん。他に料理が出来る人ってなると、俺かシリウスだよね。シリウスは調べ物で忙しそうだし」 「ニジママさまも忙しそうですの」 「え、俺はそんなに用事多くないよ? なんなら俺と三人で当番制に、」 「ニジママさまは藍夜パパさまが占領したいからだめですの。離れ離れは、藍夜パパさまが寂しがりますの」 (夜色の髪の青年は大きく咳払いをして香草茶を啜った) (空色の髪の乙女は顔を真っ赤にしてうろたえるばかり) 「……で、考えた結果『料理を教えてやってくれ』と、そういうわけだね」 「はいですのぅ。『ヒトは家事分担で暮らすが吉』だそうですの。『ヒモ』も『ミツグクン』もだめですの。 このままだととうさまは『プー』で『不能』で『やりちん』ですの。アスター、そう教えて貰いましたの」 「……その、ヒモとか何とかって、一体どこから覚えて来るの?」 (少女はいつもの黒表紙の分厚い書物を取り出した) 「ああ、またこいつかぁ。ふふ、アスター。ちょっと貸してね」 「はいですの、なんですのぅ?」 (空色の乙女は【黒い絵本】をトングで摘まんで焚き火の上にかざした) (【黒い絵本】は身を捩らせるようにして紙をねじ曲げて抵抗している) 「!!? だ、だだだだだめですの! アスターの絵本、燃えちゃいますのぅ!!」 「うん、アスターみたいなイイコに悪い事教えちゃう悪い本は焼けた方がいいと思うよーいい薪になるかもー」 「あの笑い方ではもう止められないな。本の事は諦めたまえ、アスター」 「だ、だめですのぅ〜! そんなのやーですのぅ!!」 (純真な少女は泣き出してしまった/今日も屋敷は平穏無事である) |
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