・取扱説明書 ▼「読み物」 イラスト展示場 小話と生態 トップ頁 サイト入口・ |
||
母の日に(楽園のおはなし4章SS) TOP |
||
(Love to mother) 空色の髪の天使が縁側でぼんやりと庭を眺めている。 建物の造りは洋装、その縁側だけが和装でなんとも似付かわしくない。 空色の天使の双子の子供が、少女と見掛けが狂暴そうな双頭の犬と遊んでいた。 何時もは朝から晩まで、目の届く範囲に居ることが多い子供らが、この日に限っては気付くと視界から居なくなっている。 探して、庭で遊んでいたところを見つけたので、ぼんやりと眺めていたのだ。 微笑ましい何時もの光景、ああ後は隣に”彼”が居てくれたら完璧なんだけどな、空色天使はそんな事を思っていた。 「ねえ、おかーさん、また来ちゃったよ?」 「困ったな。母上にはすぐに見つかってしまう」 「……なんで、にぜるから逃げてるの?」 「わん」 「犬畜生は黙って……」 「あ゙ぁ?」 「オル君、人語だよ」 駆け回ったりボールで遊んでいた子供らが遊ぶのを止め、円陣を組みヒソヒソと内緒話をはじめた。 (また悪巧みでも考えてんだろうなぁ) その様子を見て、ふっと笑みが零れる。 よく悪さをする直前にする行動だ。 「なんでにぜるから逃げてるの?」 「あれ、マヨちゃんには言ってなかったけ?」 「真夜殿、今日は母の日だからな!」 「……母の日」 「そう! だから、今日はおかーさんに迷惑かけないようにしようと思ったんだ!!」 「っは、んなことも知らねーのかよ爬虫類はよ」 「うるさい、家畜」 「あ゙ぁ?」 「もー、すぐ喧嘩するの駄目だよー」 子供らが視界から消える理由がわかった。 最初はヒソヒソ話でも、興奮してくると何時もの賑やかなボリュームになるからだ。 それを眺めている方は、笑い出さないようにするのに必死になる。 「……花をあげるとか、料理を作るとか、色々」 「んー、コハク君とシンジュちゃんとサンゴ君が渡してた!」 「僕らは料理が苦手だし、シリウス殿が作ってたし、お昼がそうだった」 「けっ、くっだんねーイベントが多いこって、ニンゲン様はよォ」 「……バカ うるさい バカ」 「テメェブチ犯すぞ、あ゙ぁ?」 「もう! だから喧嘩はダメだってば!!」 そろそろ耐えれそうになく、”ぼんやりと眺める”と言う表情が崩れそうになる。 子供らの会話に気付いてない振りをし、行動するのは忍耐力が鍛えられる。 「おや、子供達は相変わらず楽しそうだね」 ふっと吹き出し掛けた時、背後から聞き慣れた愛しい声がした。 「藍夜! 相変わらずだよ、聞こえない振りするのが大変!」 「そうかい、君も苦労? しているのだね」 「んー、苦労じゃないよ。こうでもしないと子供達の面白可笑しい会話が聞けないからね」 「ふむ、なるほど」 空色天使の隣に、彼女が望んでいた”彼”が腰を下ろした。 そのまま”彼”の肩に頭を預ける。 今まさにこの瞬間が空色天使にとっての一番の幸せだ。 彼も何を言うでもなく、彼女の頭を優しく撫でる。 「ふわぁあああああ、ラブだぁ!!」 「アベル、声が大きいぞ!」 「おにーちゃん、マヨちゃん、オル君、あっち行こう! 早く!!」 「あ、ああそうだったな! 急ごう!」 「……なんで?」 「ちっ、面倒くせェな」 双子の”父と母”が、仲良く寄り添っているのを確認した後、子供らはそそくさと庭を後にした。 「ふむ、子供達が行ってしまったようだけど、追いかけなくていいのかい?」 「んーいいかな? しばらくこうしてたい」 「そうかい? では、暫くゆっくりしていようか」 「うん」 膝枕をしてあげようか、やったー、そんな会話を聞きながら、双子は母の日のプレゼントの成功を喜んだ。 「……結局二人はにぜるに何をあげたの?」 「んとねー、他の人と同じ事したくなかったんだ!」 「だからな、母上には”父上と二人きりのラブラブな時間”をプレゼントしたんだ!」 「……あ、だから逃げてた」 「そーだよー!」 「へへ、成功したな! アベル!!」 「うん!」 くだらねーとぼやき、双頭の犬は三人の傍で丸くなった。 双子と少女は、物陰から縁側を見守る。 「ところでマヨちゃんは、アスターちゃんに何をあげるの?」 「……!!」 三バカトリオと一匹は今日も相変わらずだ。 |
||
TOP UP:15/05/10-ReUP:18/09/27 |