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夢にまでみた風景(とある冬の日)


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本当にこわいのはドアの幽霊だけ
彼らはちょっと頑張り屋なだけ

(コバルトブルーの景色に、真っ白な雪を散らして)

君はわたしの手を取って
一面の真白の大地 廃線の上を行く

「あいつらのことなんて気にするなよ」
「お前はお前らしくあればいい」

君の耳と頬が紅くなっているのに
わたしは初めて気がついたんだよ

ざああと風が通り過ぎて
雪が花びらのように舞う
風花
銀色金剛石
きらきらの六角結晶

つないだ手がかすかに熱くて
わたしは生まれて初めて世界に降りたったように
目をまんまるに見開いて君に惹かれるままでいた

ほら 見てごらん
山に囲まれたこの町で
蛍火が行き交うように
灯台が暗礁を照らすように
しんと息を潜めた紺と白に
君とわたしの息だけが
蒸気色のランプを落としている

鼻先を刺す冷ややかさは
君の手が持ち去っていくんだね

世界にふたりきり
君とわたし
線路に乗せて どこまでも行ける
いつだって どこにでも行ける




詩、つらつらと。ある日に見た夢の風景。
紺と白のコントラストが好きです。
だから、それがいっそう映えて見える冬の夜空が大好きです。






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 UP:17/10/20