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BEGGARS −ベガーズ− 皆様お集りですか? 今日は酷く美しい月夜に御座います、そんな離れた所に居ないでこちらへどうぞ。 怖がらなくとも良いですよ。わたくし、旅のしがない語り部に御座います。少し御話致しましょう。 何、大した時間はとりません。ええ、どうぞこちらへ。 甘いお茶もたっぷりご用意しました、お寛ぎ下さい。 さて、これよりわたくしが語りますは、遠い遠い、異国の物語に御座います。 そこでは権力と財力が世の全て、貧困の差は激しく、人々は一個のパンでさえ奪い合っておりました。 やがて世の終わりがゆっくりと見え始めた頃。 人々は疲弊した果てに『クスリ』を見つけたのです。空腹も、苦痛も、迷いさえも打ち消す珍しいクスリを。 魔法使いが好んで使う粉や、神様の飲む水とも異なりますそのクスリは、大変に価値あるものでした。 争いは幾度となく繰り返されましたが、その分だけの値打ちがあったのです。 やがて時が流れ…そのクスリは色、形、構成パターンから、いつしかこう呼ばれるようになりました。 リーヴィング・デッド。 生きた麻薬、と。 ……どうやら、皆様方も興味関心が沸いて来たようですな。宜しい、大変結構な事で御座います。 しかし残念ながら、この物語はこの『クスリ』自体によって進められていくというものでは御座いません。 この物語を紡ぐは、1人の若者と1人の子供、1人の学者ら3名に御座います。 若者は乞食(ベガーズ)指導者、子供はクスリの事実を知る者、学者はその保護者に該当しております。 さて、もし宜しければ是非このわたくしめに。この物語の続きを語らせては下さいませんでしょうか。 きっと御満足して頂けると、自負致しておりますぞ―― |
(C)Lis,wani/Confeito UP:08/07/26(wani) ・回廊を出る――次>・ |